コルセット

薬

椎体圧迫骨折で処方される治療薬

骨粗鬆症では軽い転倒や尻もちで椎体(背骨)が骨折することがあり、保存治療を選択されることが多いです。急性期の治療にはカルシトニン製剤や消炎鎮痛剤などの薬剤投与と安静により痛みを徐々に取り除いて、疼痛の軽減とともに早期に離床させるのが原則とされています。

安静には臥床、ギプス、装具が用いられることが特に多いとされています。

離床時期には骨粗鬆症の根本療法をおこないますが、用いられる薬剤はビタミンK、活性型ビタミンD3製剤、カルシウム、ビスホスホネート製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulator:SERM) などがあります。

臥床安静

まずは投薬・安静臥床により痛みを取り除く方法を選択されることが多いです。薬剤としては、カルシトニン製剤の注射や強力な消炎鎮痛剤の投与が多く用いられます。

疼痛の軽減とともに体幹装具の着用した状態で立位・座位・歩行訓練をおこないますが、受傷1~2週後に痛みが軽くなることが多いとされています。その後、硬性装具(Jewett型)や軟性コルセットを装着して坐位や端坐位をとらせ、それが可能なら立位・歩行をしていきます。

2か月程度で骨癒合するので、外固定期間は受傷後2か月程度とする意見が多いです。 しかしながらコルセットを装着した状態でも疼痛がある症例も見られ、軟性コルセットを常時装着せざるをえない症例も多いとされています。

ギプス固定

体幹部を胸骨、腰背部、恥骨の3点固定ギプスにより固定すると疼痛が著しく改善して、起立不能なものもギプス固定後に起立できるようになります。ギプスで伸展することにより椎体前方の骨欠損が生じた場合、骨粗鬆症例では若年者と異なり骨癒合が遅延あるいは偽関節を形成する可能性も考えられます。過度な伸展を行わないようにギプス後のレントゲン評価が必要であると言えます。

ギプスを1か月、その後コルセットを装着もしくは硬性装具をして多くの場合は 2か月で骨癒合します。
治療当初からギプスを用いる場合、直後より歩行を許可します。

 

コルセット、装具

硬性装具は装着感が快適でないためコンプライアンスも低いとされています。それよりも簡単で痛みを取り除く効果もある軟性コルセットを用いるとする意見もあります、軟性コルセットでは十分な固定力がありませんが、痛みを緩和させるという観点からは、短いコルセットでも効果があります。

取り外し可能な外固定具には、軟性コルセットと硬性装具があります。骨癒合を期待する、あるいは椎体の圧潰を防ぐという観点からは、強固な固定が必要で硬性装具を用います。とくに3点固定を行うJewett 型の胸腰仙椎装具が最もよく用いられます。

軟性コルセット (Damen corset)

コルセット軟性コルセットは臨床上、最も頻繁に用いられています。厚手の布地を基本に体軸方向に金属やプラスチックなどの細い支柱を入れ作製します。採寸して作製するものから、いくつかのサイズを有する既製品まで種々のものがある軟性コルセットの頭尾側の高さについては、さまざまな意見があります。免荷支持の原則からいうと、肋骨弓と腸骨稜にかけるべきであり、頭側では剣状突起から約1cm下方、尾側では恥骨結合より1cm上方が理想とされています。

しかし、現時点での軟性コルセットの制動効果は完全ではなく、特に回旋方向に対する制動効果は皆無であります。その効果発現機序も腹圧上昇や腹筋の支持作用による腰椎の保持にあります。したがって、体軸方向の高さをより長くすることは意味がないものと考えられています。前述した理想の作製基準では、肋骨弓と腸骨稜にコルセットが当たり、疼痛を生じることもあります。

硬性装具 (TLSO:thoraco-lumbo-sacral orthosis)

ポリプロピレンから成る硬性装具で、軟性コルセットとは異なります。一般的な腰痛症に対する保存療法として使用されることはありません。しかし近年の生体力学的研究によると、体幹装具によって椎間の動きを抑えることは不可能であり、術後の装具は体幹の粗大な動きを抑える効果しか出来ないことが報告されています。この硬性装具は脊椎固定術後の腰椎固定や脊椎外傷の保存療法に使用されています。

硬性装具の作製・装着時に注意すべきことは、装具下端の圧迫による外側大腿皮神経痛の発生であります。外側大腿皮神経の圧迫を避けるため、装具腹側下端は上前腸骨棘の直上ないし1横指頭側で切除することが大切です。

保存療法(体幹固定)の課題

通常2~3か月の経過で治癒していきますが、疼痛が継続する症例のなかには、骨折椎が癒合した後に他の椎体が次々に骨折していく症例もあります。

また当初の治療が影響するとされる十分な証拠は言われていませんが、椎体偽関節発生を疑う必要もあります。通常の骨折における骨癒合に必要な条件を考えれば、不十分な固定が偽関節を引き起こしている可能性はきわめて高いです。痛みが消失しない症例やX線的に骨硬化がみられないような症例では慎重な経過観察が必要で、外固定期間の延長も仕方がありません。

一方、装具やギプスによる固定は腰背筋の廃用性萎縮をきたすため「早期に取り除くべき」との意見があります。 しかし、除去により疼痛が再発して活動性が低下するようではいけません。また、椎体偽関節形成に注目が集まるとともに、早すぎる固定除去を問題視する意見もあります。

 

No.0032
監修:院長 坂本貞範

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