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変形性膝関節症になる原因

40歳以上になると、5人に1人は変形性膝関節症にかかっているといわれています。そんな多くの方を悩ましている変形性膝関節症を予防するためには、まず変形性膝関節症となる原因を知る必要があるでしょう。

変形性膝関節症の原因は、一次性と二次性に分類されています。一次性は原因が明確でないものをいい、ほとんどの変形性膝関節症はこの一次性によるものです。二次性は原因が明確なものであり、靭帯や半月板の損傷あるいは骨折などによる外傷によるものがこれにあたります。

一次性による発症の要因

加齢

一次性のように原因が明確でない場合であっても、変形性膝関節症になりやすい要因はいくつかあります。そもそも変形性膝関節症とは、関節の変性により関節軟骨がすり減ることで起こる疾患です。膝に関わらず、加齢により各関節の変性は認められますが、膝のように体重の負担がかかる関節は、他の関節と比べても加齢が進むにつれて変性が起きやすくなります。

肥満

体重がかかる関節という点において着目すると、肥満傾向にみられる人ほど、変形性膝関節症になる割合も高いです。なぜなら体重が増えるにつれて、膝への負担も倍増するからです。その負担増は、体重が1kg増えると平地の歩行時では3〜4kg、階段の昇降で6〜7kg増えるといわれています。つまり肥満傾向がみられる人は、標準体重の人と比べると日常生活での膝の負担が大きいといえます。

性別

性別による発症率では男性と比べて女性の割合が2〜3倍も多くみられます。その理由として、女性ホルモンが深く関係しています。女性ホルモンのエストロゲンは骨や軟骨を維持するために重要な働きをしますが、女性は閉経によりエストロゲンの分泌量が急激に減り、その影響で関節軟骨のすり減りが男性より多くみられるのです。

筋力低下

変形性股関節症では筋力低下も発症の要因の一つといえます。膝関節を支えている周りの筋肉が低下すると、それに伴い膝の不安定性が増し関節の負担も増加します。もともと女性は男性と比べると筋力が少ないことからも、変形性膝関節症が女性に多い理由が伺えます。

足の変形(O脚やX脚など)

日本人ではO脚になっている方が多くみられますが、O脚やX脚の場合も変形性膝関節症になりやすいです。なぜなら、本来膝へかかる体重の重心線はほぼ膝の中心を通っていますが、O脚だと重心線が内側に、X脚だと外側に移行します。すると重心が偏っている側の関節軟骨がすり減りやすくなり、変形性膝関節症の要因となります。

以上は身体的なことによる要因ですが、それ以外の点に注目すると、生活の送り方によっても変形性膝関節症の要因が潜んでいます。例えば、毎日の移動でよく歩いたり階段を利用する、重い荷物を運ぶ仕事をしている、膝立ちやしゃがむ動作を頻繁にする農作業などでは発症率が高くみられます。そして最近の研究では、遺伝も発症の要因の一つとして認められてきました。

膝OA 原因

変形性膝関節症を発症しないための対策

変形性膝関節症の診断を受けていない方の予防法

変形性膝関節症にかかりやすい要因をみてみると、加齢や性別、遺伝など予防の対策が立てられないものがあります。しかしそれ以外の要因では、対策をすることにより変形性膝関節症を防ぐことができるかもしれません。

変形性膝関節症の予防に最も効果があるのは運動です。変形性膝関節症に効果的な運動は色々ありますが、特に重要になるのが大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と呼ばれる太ももの前にある筋肉の強化です。この大腿四頭筋を鍛える方法にはいくつかの種類がありますが、自分にあった方法で継続して行いましょう。

マシン・トレーニング

まず紹介するのはマシンを使った方法です。レッグエクステンションと呼ばれるマシンは大腿四頭筋をメインに鍛えることができます。またレッグプレスというマシンでは、大腿四頭筋だけでなくお尻や太ももの裏側の筋肉も鍛えることが可能です。これらの機械はスポーツジムやデイサービスなどの施設で利用することができます。

スクワット

マシンによるトレーニングでは場所を選びますので、自宅でもできる方法としてはスクワットがおすすめです。スクワットはどこでもできて、さらに大腿四頭筋だけでなく下半身全体の筋肉を刺激することができます。

スクワット

スクワットの正しいフォーム

ただし、スクワットをする上で注意することが1つあります。それはしゃがんだ際に、膝を爪先より前に出さないということです。膝がつま先より前に出るフォームでは、股関節や足関節をあまり使わず、膝関節だけでしゃがんでいることになります。このようなフォームでは膝に負担がかかり、逆に膝を痛める原因になります。お尻を後ろに引くようにしゃがみ、重心が前寄りにならないように注意しましょう。

 

スクワットまた高齢者にとって、スクワットは負荷が高い運動かもしれません。もしも複数回のスクワットが難しい時は、しゃがみ込む深さを調節して、無理なく運動を行いましょう。できれば転倒防止のためにも、テーブルやイスの背もたれに掴みながら行うとより安全に行うことができます。

有酸素運動

そして肥満傾向にある方は有酸素運動も一緒に取り組みましょう。筋力をアップさせるトレーニング(無酸素運動)も代謝が上がり、効率的に体のエレルギーを消費することができます。しかし肥満の方は脂肪を燃焼させる有酸素運動も併せて取り組むことで、より一層効果的に減量することができます。身近な有酸素運動としてはジョギングやウォーキング、プールでのスイミングやウォーキングが良いでしょう。運動の強度は個人差がありますので、無理のない範囲で継続していきましょう。長時間の運動が難しい場合は、短時間の運動を数回に分けて行っても効果は認められています。

変形性膝関節症を進行させないための対策

変形性膝関節症と診断された方の予防法

先ほどの説明で変形性膝関節症になりやすい原因についてお伝えしましたが、仮にその原因に当てはまらなくても、変形性膝関節症にかかってしまう場合もあります。例えば、加齢による関節の変形は個人差があり、学生の頃にスポーツなどで膝を酷使しているような場合では、若年者でも変形性膝関節症の所見がみられることもあります。

もしも変形性膝関節症になってしまったら、どのような対策があるのでしょうか。変形性膝関節症はいくつかの要因から進行していく疾患ですので、変形性膝関節症と診断されたら症状を悪化させない予防が必要です。

変形性膝関節症の主症状といえば疼痛です。進行期によっては痛みの出方や強さが違いますが、症状が強くなるにつれて体を動かすことが億劫になり、運動をしないことにより筋力が衰えていきます。そうなると膝の安定感が低下し、さらに痛みが助長するというサイクルに陥ります。この負のサイクルを解消するためには、やはり運動が必要になってきます。

しかし先ほどお伝えしたスクワットでは運動強度が強く、疼痛症状がみられる方には不向きな運動かもしれません。そこでスクワットよりも膝への負担が少なく、自宅でも簡単にできるトレーニング方法を紹介します。

イスに座って行う方法

四頭筋 座位まずイスに深く座ります。そしてゆっくりと片足を伸ばしましょう。たったこれだけで大腿四頭筋のトレーニングができます。この運動をするときの注意点としては、膝を伸ばすときも、元の位置に戻すときも、反動を付けずにゆっくりと行うことです。また、大腿四頭筋に力が入っているのを意識して行いましょう。

パテラセッティング

もしも痛みが強く膝の曲げ伸ばしが辛い場合は、膝をあまり動かさない「パテラセッティング」という方法があります。

パテラセッティングこちらの方法では、まず膝を伸ばした状態で座り、膝の下に折り畳んだタオルを敷きます。そして敷いたタオルを膝で押し潰すように力を入れ、そのままの状態を5秒間キープします。こうすることで大腿四頭筋が収縮しますので、太ももを触って筋肉が硬くなっているのを確認しましょう。目安の回数としては10回を3セット行います。

装具療法

また症状が進行するとO脚やX脚になる方が多いです。これは内側か外側の片方だけ変形が進むからです。特に変形性膝関節症では内側の変形が進み隙間が狭くなるので、O脚となる方が多くみられます。このようなアライメントの不良に対して、膝のサポーターや足底板(インソール)により矯正をする装具療法があります。

これらは市販の物もありますが、病院でオーダーメイドの物を購入すると、自分の体に合った物が使えます。装具を使用しているほとんどの方は、毎日のように装着して過ごしていますので、せっかく使うのであれば、体にフィットした物を選びましょう。

生活様式の見直し

そして日常生活動作で膝に負担がよくかかる方は、生活様式の見直しも必要になってきます。膝への負担は、そのまま症状の進行を早める危険性がありますので、将来を見据えて生活を過ごしましょう。特に仕事で膝の負担がかかっている人では、思い切って労働環境を変えるのも一つの方法です。それが難しいようであれば、働き方を工夫してなるべく膝の負担を軽減させましょう。

また痛みが強くなると、長い時間の歩行が困難になってくることもあります。しかし、だからといって家でずっと過ごすことは良くありません。特に高齢者の場合、変形性膝関節症になっていても適度に体を動かすことは必要です。例えば杖や押し車(シルバーカー)、歩行器などを使うことで、膝の負担を軽減しつつ安定した歩行が得られます。

まとめ

このように、変形性膝関節症には発症の引き金となる要因が様々あり、これらの危険因子が重なることで発症のリスクが高まります。そのため少しでも変形性膝関節症にならないよう、あるいは現在の症状が進行しないよう、予防に取り組むことはとても大切です。もしも自分に発症の要因が当てはまるようなら、将来を見据え行動に移しましょう。

 

No.0020

監修:院長 坂本貞範

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